今日は土曜日
学園祭の疲れもまだ少し残っていた
だけど、倉庫には凜も慧も紫苑もいない
みんな自分の管轄の族に顔を出しに行っている
月に一度は顔を出すんだとか
まるで、私の病院の検診みたい
大輝も、先ほど電話を受けてどこかへ行ってしまった
翔もいつも通り調べ物をしていて
「皆さん本当に忙しいですよね。」
「昨日の今日なのにすごいよ。」
「で、クロはひとりぼっちなわけカ?」
「別にぼっちじゃないし……。」
ナオと修司と悠
下にいる時は大抵この3人と一緒にいる
今はトランプの最中
「もう修司と悠は慣れたんだね。」
「ナオが面倒見てくれたからね。」
「それに、人も多いし気が合うやつも多いしナ。」
確かに、私も入った時は全然だったけど、今はみんな仲良くしてくれている
来た時には声をかけてくれるし、私もそれが嬉しい
「そういやァ、そろそろ抗争があるらしいじゃねぇカ。」
抗争……?
「どこと?」
不意に拓斗の顔が浮かんだ
「いや、そこまでは分からないです。
実際に長からはまだ何も言われてないんで。
あくまで噂ですけど。」
私がREDMOONに入ってからはなかった抗争
でも、それが普通なのか……
今までなかったのがおかしいくらいだった
「でも、クロは長たちが守ってくれる。
俺たちだってそのつもりだよ。」
「クロさんは必ず守り抜いて見せます!!」
「あんたに死なれちゃ困るからナ。」
「ふふっ、ありがとう。」
大丈夫
抗争以上のことを私たちはやってきた
私は、信じる
「お嬢さん。」
呼ばれた声に振り向けば、翔がいた
「いないから心配したよ。
ナオたちといたの?」
「うん、トランプしてた。」
ほとんどやってなかったけど
「じゃあ、暇ならデートしない?」
「えっ!?」
「なっ!?」
「……あァ!?」
「……デート……?」
デートって、翔と?
「うん、そう。行かない?」
「……デートじゃなくて買い物なら喜んで。」
あの学園祭のことが頭をよぎった


