「本当に送らなくていいのか?」
「うん、大丈夫だよ。じゃあ……また明日。」
そう言って私はみんなと別れた
今日は用事があるといって
なぜなら……
「……やっぱりいた。」
彼と初めて会った場所……体育館裏
そこには、まるで私が来ると分かっていたかのように……拓斗がいた
「よっ。」
金髪があの日と同じように靡いていて
「よっ、じゃないわよ。
こんなところまで来て。」
「ははっ、よく俺がここにいるの分かったな。」
「あなたがそう仕向けたんでしょうが。」
そう、私はただここに来たわけじゃない
"信じてたら、きっとまた会える"
その言葉の裏に、ここに呼ばれているような気がしたから
「ちゃんと伝わって良かった。
だけど……まさかクロが噂の姫だったとはな。」
「拓斗こそ、Blue skyの長だったなんて。」
私たちは名前だけを教えあった関係
お互いに自分の立場を簡単に言うわけにもいかなかった
あの時は
だけど、今は違う
もう知ってしまったのだ
「じゃあ俺は……敵を助けちまったってことか。」
「拓斗には本当に感謝してるよ。
あの時も、今日も言わないでくれて。」
「むやみに喧嘩売っても仕方ねぇからな。」
REDMOONの敵であるBlue skyの長
Blue skyにとって敵であるREDMOONの姫
決して交わってはいけなかった
私たちは……本来ならば平行線のままだった
「なぁ、俺から言うのもなんだが、助けたお礼として1つ頼んでもいいか。」
「……何して欲しいの?
REDMOONの弱みでも知りたい?」
そう言うと、拓斗はキョトンとした
そしてその後……笑い始めた


