ぶらほわバタフライ



「いらっしゃいませー!!
あ、長にクロさん!!」





りんご飴を売っていたのは、下っ端くんたちのまとめ役ナオのクラスだった





「さっき凜さんも来たんですよ!!
あ、クロさんもりんご飴いかがですか?」





キラキラした瞳でりんご飴を両手に持つナオが可愛く見える……っ





「あぁ、1つ頼む。」



「えっ、長にお金を頂くわけにはいきません!!」



「今日は学園祭だ。気にしなくていい。」





そう言ってナオにお金を渡し、りんご飴をくれた





「あ、ありがとう。」



「ん。」



「ありがとうございました!!」





それから下っ端くんたちのお店を渡り歩いた



凜みたいに全部もらったら大変だから、大輝が代わりに断ってくれたけど



そうしてひと回りした後は屋上に来た



たくさん人が来てるのにも関わらず、屋上には誰もいなくて開放感があった





「大輝、翔に聞いたんだけど……お客さんのこと。」



「別にたいしたことない。」



「でも、忙しかったでしょ?
1位だったし……」



「クロも1位だっただろ。
1番高いの食わせてクラスに貢献してもらっただけだ。」



「やきもち……妬いてくれたの?」



「……悪いか。」





不貞腐れた顔をする大輝に、私は可愛いと思ってしまう





「ううん、ありがとう。」



「ん。」





しばらく屋上で休憩した



一緒に日陰に座って、一緒に空を見上げる



ふと大輝がそっと私の頭を引き寄せる



肩に寄りかかる形になったけど、大輝がこんな近くにいると思うと、嬉しかった



たったそれだけのことだったけれど、幸せだと思った





「大輝って、私の頭撫でるの好きだよね。」



「良い位置にあるからな。」



「それ、バカにしてる?」



「気のせいだ。」





こんなやり取りでさえ浮かれて、自惚れてしまうのは……きっと末期だ