私はただ大輝の背中を見て歩いた
「あれ、藍羅様とクロハさんじゃない!?
2人を一緒に見られるなんてっ!!」
「2人が並んで歩いてるだけでかっこいいっ!!」
それでも誰も話しかけてこないのは、大輝の威圧感からだろうか
「なにか食べたいものあるか?」
「え?」
「買ってやる。」
そう微笑みながら言う大輝に、またドキドキする
最近、こうやってよく微笑んでくれる
それが私に向けられているのが、すごく嬉しい
「り、りんご飴!!」
何が食べたいかなんて正直分からなかったけれど、この胸の高鳴りがバレないように、咄嗟にさっき見た飴が浮かんだ
「くくっ、りょうかい。」
大輝は腕を離して、繋ぎ直した
「……っ、」
ごく自然に繋がれた手
「あ、あのっ」
「はぐれたら困る。いくぞ。」
横に並んで歩く
ゆっくりなのは、きっと私に合わせてくれてるから
ふとさっきの翔の言葉を思い出す
"大輝の独占欲は強いからね。
こいつは俺のものだって自慢したいんだよ。"
分かるよ
こうやって行動で示してくれるから
大輝の行動全てに私が存在するっていうことが分かるから
これほど、誰かの心に囚われるなんて
あぁ、この繋がれている手が、一生離れなければいいのに
そう思ってしまうのはおかしいかな……
密かに繋がれた手に私は縋る


