「クロハ、1番ご指名入りました!!」
「ダイキ、4番ご指名ー!!」
テーブルは8席、4席ずつに分けてある
でも……明らかに女子のお客さんの方が多くて、こっちの方が少し忙しい
そして、何より問題なのは……
チラッと入口にある看板に目をやる
ランキングが書かれているわけだが……どうしてだろう
なんで1位のダイキの隣に、私が書かれてるんだろう
そのせいで、さっきからテーブルを行ったり来たりしている
なんで私が……女なのに
嬉しいような悲しいような……
「ご指名ありがとうございます。クロハです。」
「うわっ、本当にイケメンですね!!」
「ポニーテールなのがまた堪んない……っ!!」
「ふふっ、ありがとうね。」
女の子2人の間に座り接客する
「クロハさんはREDMOONの皆さんとはお話するんですか?」
「まぁクラスメイトだからね。
あの人たちは、男でも女でも魅了する力があるし。」
「そうなんですよね!!
でもクロハさんもそんな感じしますよ!?」
「本当に?嬉しいなぁ。
あとでみんなに自慢しようかな。」
「〜〜っ/////!!あ、あのっ!!
連絡先教えてもらえませんかっっ!?」
もう今日何回も言われている
もう断るのにも慣れてきてしまった
「ごめんね。それだけは出来ないんだ。
だけど……」
そう言って私は、女の子2人の手を取り、そっと跪く
「君たちが願うなら、僕たちはきっとまた出会える。」
申し訳ないけれど、私にはこの人たちに一時の夢を見せてあげることしか出来ない
今日、この日だけの関係
だからこそ、"きっとまた"なんて言葉で濁す
「クロハ、次は4番テーブルです。」
「分かりました。
今日は、僕に会いに来てくれてありがとう。」
少し罪悪感はあるけれど
でも、夢は夢のまま終わらせるのがいいと思うから
私も……もしかしたら夢を見ているのかもしれない
さっきの女の子たちのように、ただ願っている
ただひたすらに、シロ兄に会えますようにと


