「やっぱ男装しなきゃかぁ……。
いや、嫌だなぁ。
でもやらなきゃだしなぁ。
あぁ、でも気が進まないなぁ……。」





もう逃げられないか……





「……ふふっ、」



「え?」



「あっ、いや……すみませんっ!!」



「う、ううん?」





別に謝らないでいいのに





「あ、あの……っ、八雲さんとREDMOONの人たちって仲がいいから……えっと怖い人なのかって勝手に勘違いしてて……。
でも、全然そんなことなくて……っ。」





え、私って怖い人だと思われてたの?



全然知らなかった



採寸してもらいながら、周りの私に対するイメージに少し落ち込む





「あ……もしよろしければなんですけど……おおおお友達になってくれませんか……っ!!」



「へ?」





急なことで驚いた



そういえば高校に入ってあまり友達とかいなかった気がする



委員長とかやってたし、みんなと出会ったから



ふるふると子犬のように震えながら言う向井さん





「や、やっぱりダメですよね……こんな私なんかっ。」



「そんなことない!!すっごく嬉しい!!
よろしくね、向井さん!!」





手を差し伸べる





「麻里(マリ)でいいですっ。
よろしくお願いしますっ!!」





おずおずと私の手を握り返してくる麻里





「クロでいいよ。あとタメでね。」



「はい……じゃなくて、うんっ!!」





高校初のお友達



ちょっと……わくわくしてる





「ていうか、服の採寸麻里1人でやってるの?」



「本当はREDMOON幹部の採寸をやりたい女子が殺到したんだけど……服飾出来るの私しかいなくて。」





あぁ、それはまぁ……何とも言えない



ていうか、こんなに洋服が多い出し物選んだの誰よ……





「私も手伝うよ。少しは出来るし。
あと測ってない人誰?」



「あ、ありがとう!
えっとね……あとは2人だけだよ!」