「あれだけ手紙送ってあげたっていうのに一向に効果ないんだもの。」





そういえば……あれ、あなたたちだったんだ





「……もしかしたら、あなたたちの言う通りなのかもしれないね。」





私が禁忌を破ったから……



だからみんなは、離れたくても離れられなくて……





「今ここで選びなさい。
REDMOONの前から消えて平凡な日常に戻るか、ここで潰されるか。」





そう彼女が言うと、影から3人ほど男が出てきた



私が消えることを選べば……みんなは……



そう思った瞬間、風が吹き荒れて思わず目を瞑る



そして目を開けた時には、私の前に誰か立っていた









「俺が助けてやろうか?」





その人は背中を向けていて顔は見えなかったけど、風に揺れる金髪の髪は綺麗だと思った



空色のピアスがキラリと光っていた





「なぁ、俺ならお前を助けられるぜ?
俺を信じてみるか?」





この状況で、この知らない人に助けを求める……?



私は……





「返事がねぇが……めんどくせぇから勝手にするぞ。」





そう言ってその人が風をきった瞬間、男たちはあっという間に転がっていた



女の子たちは恐怖に逃げていった





「おい。」





顔を上げると、その金髪の人は手を差し伸べていて



私はその手を恐る恐る掴んだ



勢いよく引っ張られて立たされる私





「大丈夫か?」





スっとした顔立ちに、キリッとした瞳



なんか……大輝に似ている気がした





「なんだよ、俺に見とれたか?」



「なっ、別にそんなんじゃ……っ!!」



「やっと俺を見たな。」



「え……?」



「お前、さっきからずっとどこかうわの空って感じだったぞ。
何かあったのか?」





そうだ……



さっきまでずっと色んな事考えてて、モヤモヤして……



いつの間にかこの人と話しててどっかいっちゃった





「ううん。もう何にもないの。」



「ならいいけどよ。
人っつーのは信じてみるもんだぜ。
こうやって助けてくれることもあるんだしよ。」





なぜか……心を見透かされた気がした





「それより……あなた、この学校の生徒じゃないでしょ?」



「……ゲ。まぁ……いいじゃねぇか。
たまたま通りかかったお陰でお前を助けられたんだからよ。」





まぁ、それはそうだけど……





「とりあえず、助けてくれてありがとう。
えっと……」



「拓斗(タクト)でいい。」



「拓斗……覚えておく。私はクロ。
じゃあ、また会えたら。」



「おう、またな。」





そう言って拓斗は何事もなかったかのように去っていった



結局、何でこんな所にいたんだろう……










「……クロ!!」





振り向くと、額に汗を滲ませながら紫苑が走ってきて





「紫苑……、」



「……探したっ」





紫苑はぎゅっと私を強く抱きしめた





「紫苑……?」





でも、私は何も言えなかった



抱きしめられた腕から、紫苑が震えてるのが分かったから



どうして……震えてるの?





「……俺、クロがいなくなったらって思って……いてもたってもいられなくて……っ」





また迷惑かけたんだね、私



紫苑の髪をそっと撫でる





「大丈夫。
私は……いなくなったりしないよ。」





あぁ



また私は嘘をついた



嘘を見破られないようにまた嘘を重ねる



この罪はきっと永遠に消えない