昼休み
まだ私は機嫌が悪かった
「なぁ、そろそろ機嫌治してぇや。」
覗き込んでくる慧に、ふんっとそっぽを向く
「僕たちだってやりたくないんだよ〜?
でもやらないと卒業出来ないし……。」
そういう問題じゃない
ただ男装が嫌なだけだし
「ははっ、お嬢さんが拗ねてる。」
「拗ねてるんじゃない!!怒ってるの!!」
翔はこの状況楽しまないでほしい
「俺は男装してくれた方がいい。」
「なんで?」
「なんでもだ。」
なにそれ
私が男装した方がいいってどういうこと?
……あぁ、そういうことか
学園祭は外からも人がくる
REDMOONの異例の姫となった私はそれだけで格好の的だもんね
今まで散々私のせいでみんなのこと危険に晒してきたもんね?
だから大人しくしてろってことでしょ?
「……私が普通の格好でふらふらして何かあったら迷惑だもんね?
私が男装してた方が楽だからでしょ?」
「おい、何言ってる……」
「そんなんだったら……私なんか姫にしなければ良かったじゃないっ!!
姫にしなければ、面倒事も危険な事も起こらなくて、平和な時間を過ごせたもんねっ!!」
私は屋上を飛び出した
悔しい……悔しいっ
グループにとって姫は弱みだ
そんなこと分かっていた
でも……それでも弱みにならないようにと
みんなを守りたいと思ってた
でもみんなからしたら……それは違ったんだね
今思えば、私のせいでみんなに心配させたこともあった
私が重荷になってた……
それに気づかないで1人で浮かれて……バカみたい
唇を噛んで泣きたくなるのを我慢する
……忘れていた
私には目的があることを
そのためにREDMOONを利用していることを
あぁ、そうか……
最初から私の方が……みんなのことを……
「ねぇ。」
振り向くと、5人ほどの女子がいて
「ついてきて。」
どんだけタイミング悪いのよ……
それでも言われるがままついていく
今の私には言い返す気力もない
体育館裏まで連れていかれると彼女たちは私に言った
「いつになったら消えてくれるの?」
そうか……
いっそ私が消えれば、みんなの負担はなくなるのかな?


