「お前ら、ちょっとこい。」





クロちゃんが安静にしてる間、
麓絽さんに呼ばれて麓絽さんの部屋に案内された





「とりあえず座れ。」





先代の威圧感に押されながらも、僕たちは座る





「お前らには意思確認をしてもらう必要がある。」



「意思確認?」



「俺は、クロがお前らといることにずっと反対していた。
こうなることを予測していたからだ。
俺やお前らがいる世界に絶対なんて言葉はねえ。
お前らも今回のことで分かっただろ?」





その言葉に僕たちは何も言えなかった



だって今回クロちゃんが傷を負ったのは、その言葉の通りだったから



例えそれが殺だったとしても、クロちゃんが傷ついたことに変わりはない





「ただ。」





麓絽さんは呆れたような、苦虫を噛み潰したような顔をした





「俺が何度言おうとクロが考えを変えることはなかった。
あいつは、自分を犠牲にしてでもお前らと一緒にいることを選んだ。」





僕たちはその姿勢を見てきた



クロちゃんは女の子のくせに頑固だから……





「だからお前らには覚悟してもらう。
どんなことがあってもクロを見捨てないと。」





その表情はとても真剣だった



麓絽さんとクロちゃんがどんな関係なのかは知らないけど、僕たち以上の何かを感じた





「クロは、俺たちにとって大事なやつです。
手放すことも、見捨てることもありえねえ。」



「そうだね。
お嬢さんは、初めて俺たちのことをちゃんと見てくれた子だから。」



「僕はクロちゃんに救われた。
だから今度は僕がクロちゃんに何かしてあげるんだ。」



「……クロ、大事。」



「……クロに救われたこの命で、今度こそクロを守りたいんや。」





僕たちの考えは一致した





「頼んだぞ。」





僕たちの知らないところで、過酷な枷をつけているクロちゃん



僕たちはクロちゃんのことを何も知らない



だから知りたいと思う



でも……僕たちにはずっと変わらないものがある








「守るぞ。あいつを苦しめるもの全てから。」









大輝の言葉に、僕たちはただ頷いた

















「これも……運命、なんだな……。」




僕たちがいなくなった部屋の中で、そう麓絽さんが悔しそうに呟いたのを僕たちは知らない