「俺たちはどんな慧だろうと受け止めるよ。」



「……話してみれば。思ってること。」





なんでそんな優しい言葉、かけてくんだよ……



俺はお前らを裏切ったっていうのに





「俺は、ずっと雅のためだけに生きてきた。
雅から全てを奪ってしもうた俺にとって、出来るのはたった1人の家族を守ること。
そのためならどんなに身体壊れても危ないことに手ぇ出しても良かった。
せやけど……そんなの自己満足やった。」





出来るって言われていた手術も出来なくなった



凜とクロが誘拐された時も何も出来なかった



罪を犯した自分への戒めからも逃げた



心のどこかで守れないと諦めていた





「……なぁ、どうすれば良かったんや……?
もう絶望すんのは嫌や……。
もう、俺のせいで誰かが傷つくのは見たくないんや……。」





教えてくれ



あの日、俺はどうすればよかったのか



雅から何も奪わないようにどうあればよかったのか



どう選択すればよかったのか



どう……










「それ全部過去のことじゃん。
いつまで過去引きずってんの?」










凜は、俺の胸ぐらを掴んだ





「俺はずっと1人だった!!
たった1人の親友を犠牲にして今もこうやって生きてる!!

絶望も後悔も、悲しさや寂しさも、俺やお前の心からは一生消えてくれないんだよ!!
俺たちは自分の罪から許されない……っ!!
でも、生きていかなくちゃいけないんだよ……っ!!

クロちゃんはそれに気づかせてくれた……。
"過去はどんなに辛くても、その人にとっては大切なものなんだ"って言ってくれた。
だから前を向けた。

ねえ慧。
もう、自分のために生きてもいいんじゃないかな……?」





凜……



俺は、お前がくれた選択肢を選んでもいいんだろうか





「俺たちがいること、忘れんな。」





今なら大輝の言葉が分かる気がする



俺は1人だと言い聞かせて自分を隠してきた



誰も見ないようにしてきた



周りにはこんなにも大事な仲間がいたっていうのに





「みんな……ホンマに悪かった。
そんで、ここまで来てくれて……ありがとう。」





もう俺は1人じゃない



罪を背負いながらも、俺として歩いていく