あの時、俺はただ俺の目の前で倒れていくクロを見ていることしか出来なかった
「クロちゃんは!?殺は!?大丈夫なの!?」
「眠っているだけだ。
翔、応急処置頼む。」
「分かった。
紫苑、救急箱見つけてきて。」
「……ん。」
俺が……俺がクロを……
またか……またなのか……
俺はまた繰り返したのか?
繰り返すのが嫌でこの道を選んだのに、それでもダメだったのか?
なら俺は、どうすればいいんだ……
「あんまりてめぇを責めるんじゃねぇ。」
そう俺の肩に手を置いて言ったのは、神矢組の若頭
「でも……っ、」
「クロはお前を助けようとした。
殺も俺もこいつらも、それは同じ気持ちだった。
今度はお前が応えてやる番じゃねぇのか?」
俺の……番?
俺には、まだチャンスがあるのか?
多くの人を傷つけてきた俺に?
「クロ!!」
遅れてきた麓絽さんは、現状を見て全てを察したのか的確に指示を出していく
「無理すんなよって……言ったじゃねぇか……っ。」
麓絽さんは、クロを見て悲しそうな顔をした
やっぱり……後悔ばっかだ
「慧。」
振り返るとみんなが立っていて
「俺、は……」
目の前にすると逃げたくなる
こんな人殺しがお前らの横に立っていていいのか……


