消極的に一直線。【完】

 焼肉屋を出ると、サーっと肌寒くも感じるような風が吹き抜けた。


「秋だからやっぱ夜は寒いね」


 隣を歩く倖子ちゃんが呟く。

 うん、と頷くと、前を歩いていた女子が、あ、と声を漏らした。


「あれって、うちの学校の科学研究部の人たちじゃない?」


 なんとなく気になって、その女子の指差す先を辿ると、近くにある夜の公園のベンチに座って何かを話している三人の人影が見えた。おそらく男子が二人と女子が一人。


「あんな薄暗い所で何してるんだろう」
「科学研究部って、よくわかんない人たちだよね」
「どうせまた何か変な研究でもしてんでしょ」
「さすが変人の集まり。私なら絶対そんな部活入んないわ」
「わかる。ってか、科学研究部のクール王子がいないじゃん。ざんねーん」
「ああ、マナイくんね。一緒にいないなんて珍しいよね」


 前を歩く二人の会話がなんとなく耳に入ってくる。

 確かにあんな薄暗い場所でベンチに座っている姿は少し異様に見えた。

 同じ学校の人みたいだけど。


「雫、どうしたの?」


 倖子ちゃんにポンと肩を叩かれて、ふっと公園から視線を外し、倖子ちゃんを見る。
 

「あ、えっと、ううん、何でもない。今日は、楽しかったね」


 私が言うと、倖子ちゃんは嬉しそうに笑って、頷いた。