それからは届いたクレープを口に運びながら、ここまで来る道中と同じように楽しい会話に華が咲く。


 私が言葉を発しなくても、「雫もそう思うよねー」とか「哀咲さん、クリームついてるよ」とか、私の存在が含まれた会話が続いていく。

 すごくすごく楽しくて、夢のような時間。


 みんながクレープを食べ終わって、話がひと段落ついたころ。

 倖子ちゃんが、ふーっと満足げに息を吐いて、そろそろ帰ろう、と立ち上がった。それに続いて、大西さん達も立ち上がる。

 少しさみしさを感じながら、私も続いて椅子を立った。


「あたしら会計するから、雫は先に出といて」


 倖子ちゃんにそう言われ、奢られるという罪悪感から、そーっと店を出た。


 明日のお礼は何にしよう。ささやかで迷惑にならなくて喜ばれるようなもの。何があるかなぁ。

 そんなことを考えていると、後ろからカランカランとドアが開く音が聞こえた。


 倖子ちゃんたちがお会計を済ませて出てきたのかと思って振り向いた次の瞬間――。

 そこにいたその姿を見て、ドクンと私の心臓が揺れた。