消極的に一直線。【完】

「ムカデ競争の人たち、しっかり頑張ってよね」


 運動場でそれぞれの種目に分かれて練習を始めようとした時、一人のクラスメートが大西さんに声を掛けた。

 大西さんは、少しくぐもった声で返事をして、ムカデ競争の板を抱きかかえる。


 倖子ちゃんと、大西さんと笹野さんと佐藤さんと、私。

 いつものように少しクラスメートの輪から離れた場所に集まった。


 大西さんたちの顔を間近で見ると、昨日の会話が、またぐるぐると頭に流れて、息苦しくなった。

 今も、私にムカついてるのかもしれない。私と一緒にいるのが嫌で、早く帰りたいかもしれない。


 それを肯定するかのように、大西さんが重く口を開いた。

 心臓が嫌な音をたてる。


「あの、さ、」


「ちょっと待って」


 何かを言いかけた大西さんを、倖子ちゃんが止めた。


「大西、あんたさぁ、言いがかりもいい加減にしなよ」


 倖子ちゃんが、たぶん、私を庇ってくれている。


「笹野も佐藤も、大西と同じように思ってんの?」


 下を向いたままの二人にも、倖子ちゃんの言葉が飛ぶ。