消極的に一直線。【完】

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 次の日の朝、目が覚めたら、昨日のことは全部夢だったような気がして、不安になりながら身支度を済ませた。


 あれは、本当に現実だったのかな。なんだか、夢だったのかもしれない気がする。

 もし夢だったなら、どうやって昼休みの練習をやり過ごせばいいんだろう。


 そんなことを悶々と考えているうちに、いつの間にか、教室の前までたどり着いていた。

 ドアを開けるのが、こわい。


 ちょうど、ここで、あの会話を聞いてしまった。大西さんたちの、本音を聞いてしまった。

 すごく苦しくなって、体育館倉庫の裏まで走ったんだ。


 そこまで思い出して、次の瞬間、ふわっと春風が吹いた。

 そうじゃなかった。あの奇跡のような出来事がもし夢だったなら、もう一回頑張ればいいんだ。

 ふぅっと息を小さく吐いて、教室のドアを開けた。