「絆創膏」
すぐ近くから声が落ちてきて、ゆっくりと顔を上げた。
寺泉さんは、すぐ目の前にいた。
「あたしの机に置いたの、あんた?」
そう言って、新しい絆創膏が貼られた手のひらを差し出される。
あ、使ってくれたんだ。
そう思って頷くと、「やっぱりね」と声が和らいだ気がした。
「気のせいかと思ってたけど、たまに挨拶してくれる声聞こえた気がして、本当は打ち解けたいのかなとは思ってた」
だけど、と寺泉さんは続ける。
「ムカデ競争の練習で集まっても打ち解けようとする素振り見せないから、やっぱり一人がいいのか、それかあたしらのことが嫌いなのか……」
違う。全然違う。誤解を解かないと。そんな風に思って欲しくない。
もう一度、ぎゅっと手に力を込める。
「わっ……私、喋るのが苦手で……き、緊張っ……」
ぽん、と肩に寺泉さんの手が乗った。
「うん、そうみたいね」
寺泉さんが、少し微笑んだ気がした。
すぐ近くから声が落ちてきて、ゆっくりと顔を上げた。
寺泉さんは、すぐ目の前にいた。
「あたしの机に置いたの、あんた?」
そう言って、新しい絆創膏が貼られた手のひらを差し出される。
あ、使ってくれたんだ。
そう思って頷くと、「やっぱりね」と声が和らいだ気がした。
「気のせいかと思ってたけど、たまに挨拶してくれる声聞こえた気がして、本当は打ち解けたいのかなとは思ってた」
だけど、と寺泉さんは続ける。
「ムカデ競争の練習で集まっても打ち解けようとする素振り見せないから、やっぱり一人がいいのか、それかあたしらのことが嫌いなのか……」
違う。全然違う。誤解を解かないと。そんな風に思って欲しくない。
もう一度、ぎゅっと手に力を込める。
「わっ……私、喋るのが苦手で……き、緊張っ……」
ぽん、と肩に寺泉さんの手が乗った。
「うん、そうみたいね」
寺泉さんが、少し微笑んだ気がした。
