窓からオレンジ色の光が差し込む静かな廊下。



「課題、結構進んだ?」


「え、と、半分、くらい」


「そっかぁ。俺全然出来てねーしヤバイなー」



私と颯見くんの、二つの長い影が並んでる。



やっぱり、彼氏と彼女になっても、二人で歩くのはドキドキしてしまう。



彼女って、何をしたらいいのかわからない。



だけど、今日は失敗してしまったなぁ。



颯見くんはもっと早く帰りたかったはずなのに、私が寝ていたせいでこんな時間になってしまって。



何時間ぐらい待たせてしまったんだろうか。



大切にしたいって思ったばかりなのに。



颯見くんは優しいから、そんなこと気にしないとでも言うような態度で、世間話を続けている。






オレンジに染まる帰り道。



ミーンミーンと蝉の鳴く声が、昼間より哀愁を漂わせている。



颯見くんのいる右半身がなんだかくすぐったくて、鼓動が煩い。



細い道を突き当たりまで進むと、左へ行けば私の家、右へ行けば颯見くんの家へ続く道になっている。



「こんな時間でも暑いよなー」



そんなことを言いながら、颯見くんは当たり前のように左――私の家へ向かう道を進んだ。



ハッとして、咄嗟に立ち止まった。