消極的に一直線。【完】

 校舎に入り、階段を上がって、廊下を走る。

 さっきは開けられなかった十二組の教室のドアを、ためらいなくガラッと開けた――。


「あ、」


 そこに大西さんたちがいると思っていた私は、そこにいる人物を見て、一瞬たじろいた。

 
 彼女は私の姿を見ると、何も言わずに鞄を持って席を立った。

 スタスタと、無言のまま、私がいるドアと反対のドアの方へ歩いていく。


 このままじゃ駄目だ。

 味方だと言ってくれた颯見くんの顔が頭に浮かんで、ギュッと拳を握りしめた。


「寺泉さんっ!」


 自分でもびっくりするぐらい、声が響いた。寺泉さんも、足を止めて、驚いた顔を向けている。


 鼓動がドクドクと鳴り始めた。一気に緊張が押し寄せてくる。

 でも。伝えないと。頑張って、伝えるんだ。


 浅くなった呼吸を整えるために、胸に手を当て息をゆっくり吸った。