ミーンミーンと蝉の声に混ざって、グラウンドを走り回る威勢の良い声が、窓の外から小さく聞こえる。



夏休みももうすぐ中盤の八月。



颯見くんと付き合って三週間が経った。



誰もいない教材室の、窓際の机に座って、夏休みの課題を解きながら。


たまに、窓から外に目をやって、青空の下、グラウンドでサッカーする颯見くんを探す。



こうして颯見くんが部活を終えるのを待って、一緒に帰るのが習慣になっていた。



学校のある日なら、この教材室はテーブルゲーム部の部室で、吉澄さん達がちょうど私の斜め前あたりに座って緩いお喋りをしている。



みんながいない教材室は、少しだけ寂しい。



本当は自分の教室で待ちたかったけど、教室ではテストの点が良くなかった人達の為の補習授業が行われていて、入れない。



図書室に行こうかとも思ったけれど、図書室からはグラウンドが見えないから、ここにした。