暗い空に、踊り狂う吹雪。



夕方までは雪一つチラつかない晴れ渡る寒空だったのに。



始めは小降りだった雪が、だんだんと激しさを増して、今ではこんなに大荒れ。



ネックウォーマーに顎を沈めて、積もった雪に足跡を落としながら歩く。



左手に持った広げた傘で向かい風を受けながら、右手に持った閉じたままの傘を鈴葉に届けるため、鈴葉の通う塾に向かっている。



しばらく歩くと、前方に一階建てのシンプルな建物が見えてきた。



『光和義塾』とでっかい看板。



あれが鈴葉の通う塾だ。