ザワザワと、木の葉が風で擦れる音が反響する。



言われた言葉が、頭の中を何周も何周も駆け巡っていく。



もしかして。


私は。本当に。
大変な勘違いをしていたのかもしれない。



「全部、勘違いだ」



わかったか、とでも言いたげに、そう呟いた真内くんの目からは、もう切なさがしまい込まれてしまった。



さっき見た切なさの意味が、きゅっと胸の奥を詰まらせる。



私は打ち明けることを選択したけれど、真内くんは隠し通すことを選択した。



そういうこと。だよね。



「全部っていうのは……真内くんが雫ちゃんのこと好きじゃないっていうのも、勘違いってこと……」



隠して、しまい込もうとしている本人に、こんなことを言うのはよくないのかもしれない。



「私は、打ち明けたらスッキリしたよ」



そう言うと、真内くんの切れ長の目が一瞬揺らいだ気がした。



だけど、すぐ表情の読めない顔に戻る。




「何のこと言ってんのか、わかんねー」







どうやら隠し通す意思は揺るがないみたい。



真内くんは体を方向転換させて、もと来た方へ去っていく。



その横顔が、少しだけ、切なく、だけど穏やかに、見えた気がした。




~おまけ(鈴葉side)end~