「あの……何か言ってほしい」



そう言うと、真内くんは少しだけ息を吐いた。



「真内くん?」


「あんた、勘違いしてる」



ポツリ、と低い声が静かな体育館倉庫裏に響いた。



「え?」



聞き直すと、また「勘違い」と単語が返ってきた。



勘違い?



いったい私は、何を勘違いしているんだろう。


真内くんは雫ちゃんを振り回そうとしてるわけじゃない、って言いたいの?



変化のない真内くんの表情の奥が読めなくて、顔を見つめる。



「えっと?」



私が理解していないのを察したのか、真内くんはもう一度、長めに息を吐いた。



「そんな大切な友達。気付かないのか?」



静かな体育館倉庫裏に、真内くんの低い声が反響した。



なんだかわからないけれど、真内くんのその声からは、でまかせを言ってるようには思えない。



「アイツは、哀咲は、」



落とされるように呟かれる一言一言が、脳を揺れ動かす。



「颯見のことが、好きだって」