消極的に一直線。【完】

 私の言葉に、颯見くんがまた目を見開いて、くしゃっとした黒髪が少し揺れた。


「哀咲、」


 名前を呼ばれて、また鼓動が鳴る。


「ほんとに……哀咲のそういうとこ、すげぇ尊敬するよ」


 颯見くんにまっすぐな目を向けられて、心臓が揺れた。


「哀咲が一生懸命頑張ったら、きっと伝わるよ」


 颯見くんがくしゃっと笑う。


「俺にも、伝わってきたから」


 爽やかで暖かな風が、心の鉛を少しずつ溶かして攫っていく。