ザザーン、と波が砂浜を打ち付ける音。



真っ暗な砂浜が、バチバチと青白く噴射する炎に照らされている。



「見て見て、この花火オレンジだよ!」

「わー綺麗!」

「あ、あたしの花火終わったー。種火ちょーだい」

「次、線香花火にしようかな」



クラスの女子全員で輪になって座る、穏やかな時間。



こういう輪の中にいると、私もクラスの一員なんだなぁって嬉しく思う。



「ねー見て。男子達バカやってるー」


「ほんとだ、やっぱ男子って馬鹿だよねー」



誰かがそんなことを言って、少し離れた場所ではしゃいでる男子達の塊を振り返った。



「見ろよ俺の華麗な二刀流!」

「甘いな、俺は回転花火だ」

「おい危ないって火向けんなよ」



輪になって座る女子達とは違って、みんな走り回ったり飛び跳ねたりしてはしゃいでる。



その中心に、颯見くんがいて。



やっぱりどうしても、颯見くんに目がいってしまう。