消極的に一直線。【完】

 ◆◇◆◇


 気が付いたら、私は体育館倉庫の裏にいた。


 息が苦しい。胸が痛い。

 もう、走ったせいなのか、あの会話をきいたせいなのか、わからない。


 嫌な汗で、制服がぴったりと肌にまとわりついて気持ち悪い。

 さっきの大西さんたちの会話が、頭の中をぐるぐる回って、どんどんと心臓におもりをつけていく。


 体育館倉庫の裏は、人通りがなくて、微かに聞こえる運動場の賑やかな声が、すごく遠くに聞こえた。


 やっと、思考が動き始めた。

 ――ああ、私って、あんな風に思われていたんだな。
 そう思った途端。息が詰まって、ぶわっと抑え込んでいた何かが、目から溢れてきた。


 私って、ムカつく存在だったんだ。

 どうしようもなく、涙が溢れてくる。

 
 私が泣くなんておかしいのに。私が喋らないせいで迷惑で困ってるのは大西さんたちの方なのに。

 私って、本当に、自分中心の人間だ。