睨んでいても顔が整っていると可愛く見えてしまうんだなぁ、なんて思いかけて、いや、そういうことではなくて、と思い直す。



早く誤解を解かなければ、また真内くんに迷惑をかけてしまう。



「あの、鈴葉ちゃ――」


「わかった」



また真内くんが私の言葉を遮った。



あ、と声を漏らすけれど、真内くんは鈴葉ちゃんと歩き出してしまう。



どうしよう。
早く誤解解かなきゃ。



階段を登っていく鈴葉ちゃんと真内くんの背中に向かって、思い切り息を吸った。



「鈴葉ちゃんっ!」



運動場に響いた自分の声が反響して、少し緊張する。



鈴葉ちゃんと真内くんが足を止めて、振り返った鈴葉ちゃんが、ふわっと笑った。



「大丈夫だよ」



いや、そうじゃない。



ちゃんと伝えないと、と思って、咄嗟に階段を駆け上がる。



その足音を聞いた真内くんが、それを制止させるように振り向いた。



思わず、足を止める。



真内くんはまるで、大丈夫だ、とでも言うように、ふ、と息を吐いて、また前を向いて歩き出した。