「雫ちゃんと朝会うのって初めてだよね!」
鈴葉ちゃんは私の隣に駆け寄って、明るく笑いながら隣を歩く。私もそれに合わせて足を進める。
「本当だね、今日はサッカー部の朝練ないの?」
「あー実はね、カズ……じゃなくて幼なじみが風邪ひいちゃって、看病してたの。マネージャーは私だけじゃないし朝練休ませてもらっちゃった」
「そうだったんだ……朝羽くん、お大事にね」
「ありがとう。そっか、カズは雫ちゃんと同じクラスだったね!」
鈴葉ちゃんには幼なじみがいる。
私に気遣って、呼び慣れた愛称を“幼なじみ”と言い直しているけど、中学時代もう何度もその名前を聞いて覚えてしまった。
カズと呼ばれるその幼なじみが私と同じクラスの朝羽くんだと聞かされた時は、鈴葉ちゃんと少しだけ盛り上がった。
だけど、当然朝羽くんと話したことはない。
そして、鈴葉ちゃんにはもう一人、同い年の幼なじみがいる。鈴葉ちゃんからアラシって呼ばれている、会ったことのない知らない人。
鈴葉ちゃんとその幼なじみ二人は、同じ中学の子達の間ではちょっとした有名人のようだった。
昔、塾で誰かが噂している声を聞いたことがあったから。
『イケメンの幼なじみ二人に愛されて取り合いされるなんて羨ましいなぁ』
『あー鈴葉のこと?』
『そうそう。この前はどっちが鈴葉の塾の送り迎えをするかって喧嘩したらしいよ?』
『えー何それ! めっちゃ溺愛されてるじゃん!』
『ね。鈴葉も絶対どっちか好きだよね。他の男子に告白されても毎回断ってるし』
鈴葉ちゃんの話にたまに出てくる幼なじみが、実は鈴葉ちゃんのことが好きで取り合っていたなんて、とか。鈴葉ちゃんって男子に告白されたことあるんだ、とか。いろんな衝撃が走ったのを覚えている。
友達を作るのにすら苦労している私には、遠く次元の違う話だ。
「じゃあまたね!」
気が付くと昇降口の前まで来ていて、友達といる時間ってこんなにも早く過ぎるものなんだと実感した。
「うん。またね」
私が言うと、鈴葉ちゃんはふわりと笑って南校舎へ駆けて行った。
鈴葉ちゃんは私の隣に駆け寄って、明るく笑いながら隣を歩く。私もそれに合わせて足を進める。
「本当だね、今日はサッカー部の朝練ないの?」
「あー実はね、カズ……じゃなくて幼なじみが風邪ひいちゃって、看病してたの。マネージャーは私だけじゃないし朝練休ませてもらっちゃった」
「そうだったんだ……朝羽くん、お大事にね」
「ありがとう。そっか、カズは雫ちゃんと同じクラスだったね!」
鈴葉ちゃんには幼なじみがいる。
私に気遣って、呼び慣れた愛称を“幼なじみ”と言い直しているけど、中学時代もう何度もその名前を聞いて覚えてしまった。
カズと呼ばれるその幼なじみが私と同じクラスの朝羽くんだと聞かされた時は、鈴葉ちゃんと少しだけ盛り上がった。
だけど、当然朝羽くんと話したことはない。
そして、鈴葉ちゃんにはもう一人、同い年の幼なじみがいる。鈴葉ちゃんからアラシって呼ばれている、会ったことのない知らない人。
鈴葉ちゃんとその幼なじみ二人は、同じ中学の子達の間ではちょっとした有名人のようだった。
昔、塾で誰かが噂している声を聞いたことがあったから。
『イケメンの幼なじみ二人に愛されて取り合いされるなんて羨ましいなぁ』
『あー鈴葉のこと?』
『そうそう。この前はどっちが鈴葉の塾の送り迎えをするかって喧嘩したらしいよ?』
『えー何それ! めっちゃ溺愛されてるじゃん!』
『ね。鈴葉も絶対どっちか好きだよね。他の男子に告白されても毎回断ってるし』
鈴葉ちゃんの話にたまに出てくる幼なじみが、実は鈴葉ちゃんのことが好きで取り合っていたなんて、とか。鈴葉ちゃんって男子に告白されたことあるんだ、とか。いろんな衝撃が走ったのを覚えている。
友達を作るのにすら苦労している私には、遠く次元の違う話だ。
「じゃあまたね!」
気が付くと昇降口の前まで来ていて、友達といる時間ってこんなにも早く過ぎるものなんだと実感した。
「うん。またね」
私が言うと、鈴葉ちゃんはふわりと笑って南校舎へ駆けて行った。
