いつもの部活終わりの帰り道。



もう何年とこうやって三人で歩く日常を送ってきたけど、ここ最近はこの時間が苦痛だ。



隣を歩く鈴葉と、少し先を歩く嵐の間で、なんとか二人の会話を繋げようと思考を走らせる僕。



「鈴葉、今日の日本史の小テスト満点だったんだって?」


「あ、うん。カズだって一問間違えただけでしょ。変わんないよ」


「そうかな、ありがとう。けど暗記系は三人の中じゃ鈴葉が一番得意だよなー。な、嵐もそう思うだろ?」



嵐に話題を振った途端にスッと顔を背ける鈴葉と、「ああ」とだけ返して振り向きもしない嵐。



ああ、なんなんだよ、これ。



数日前から突然二人の間に訪れた、このよくわからない気まずい空気。



僕の知らないときに、鈴葉と嵐の間で何かがあったのは間違いない。



だけどそれが何なのかもわからず、いつまで続くのかもわからない。



鈴葉と嵐は両想いで、僕は鈴葉を好き、だとかそんなこと以前に、僕達は幼馴染。


僕にとっては二人とも大切な幼馴染だ。



いつまでもこんな感じなのは嫌だ。



毎日毎日のこの状態に限界が来ていた僕は、進む足をピタリと止めた。