静かな部屋に、ガラガラ、とドアの音が響いた。



「あ、寺泉か」


「雫は?」


「寝てる」



スタ、スタ、と颯見くんが離れていく音と、倖子ちゃんの少し不機嫌そうな声。



「先生は?」


「留守」


「は!?」



前まではこんなに険悪な会話じゃなかったのに、これも私のせいだ。



「ちょっと待って颯見、まさかずっと二人でいたの?」


「そうだけど、別に変なことしてないから安心して」


「いや、そういうのじゃなくて!」



声を荒げる倖子ちゃんから、私を心配してくれてる気持ちが痛いほど伝わってくる。



私が颯見くんを好きじゃなかったら、こんな風に倖子ちゃんが颯見くんを敵対視することもなかったのに。



私のせいだ。












「……颯見、あんたが考えてること全然わかんないよ」




「……うん。それでいい」









それ以上の会話はなくて、きっと颯見くんは保健室を出て行ったんだと理解した。