「あい、ざ、き?」



颯見くんが目を大きくして、私を見る。



慌てて顔を俯けた。



釘を刺されて、泣いて。
なんて情けないんだろう。



優しい颯見くんに、また気を遣わせてしまう。



カサ、と颯見くんのシャツが擦れる音が耳に入った。



「俺、勝手だよな」



降ってきた声は、残酷に心臓を揺らした。







「ごめん」







小さく囁くような声が寂しく耳に消えて、颯見くんの爽やかな匂いが鼻をかすめる。





スッと颯見くんの気配が私の横を通り過ぎて、土を踏む音が遠くへ離れていった。