私は、きっと自惚れていた。



颯見くんの特別な感情は鈴葉ちゃんに向けられていると言葉では並べながら、心のどこかで、それは私に向いているかもしれないと、期待していたんだ。



保健室へ連れて行ってくれた時も、今のこの二人きりの補習も。



優しい颯見くんには何でもない当たり前のことだったのに、いちいち反応して期待して、自惚れて。



髪を触られて、嬉しかった、なんて、恥ずかしくて火を噴きそうになるぐらい、勘違いな発言。








「すげーわかりやすい。ありがと!」



そう言ってクシャッと笑ったその笑顔も、きっと鈴葉ちゃんにはもう何回も見せているもの。



特別なことは、何もない。