鈴葉ちゃんと知り合ったのは中学生のとき。


 学校は違ったけど、通っていた塾が同じで、誰とも話せず一人でいた私に唯一声をかけてくれた。


 せっかく話しかけてくれたのに上手く会話できない私に、「ゆっくりでいいんだよ」って言ってくれた、そんな人。


 喋るのが苦手な私を理解してくれて、ありのまま受け入れてくれた。そうして塾で毎日一緒にいるうちに、鈴葉ちゃんには緊張せずに話せるようになっていった。


 そんな鈴葉ちゃんだから、彼女の周りにはたくさん人が寄ってくる。

 女子も男子もみんな鈴葉ちゃんが好きで、鈴葉ちゃんの周りはみんな笑顔で。

 私はそんな鈴葉ちゃんにずっと憧れている。こんな人になりたいって。


 同じ高校に合格して、嬉しく思っていたけれど、地元でも有名なこのマンモス校では、クラスが遠く離れてしまったせいでほとんど会う機会がない。


 私は北校舎にある十二組で、鈴葉ちゃんは南校舎にある二組。

 校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下を二回も通らないといけないほどの距離。 

 それでも、出会ったら必ず声をかけてくれるから、それが嬉しい。