第2章 クラスの友達



 まだ残暑が抜けない九月の半ば。

 『体育祭選手決め』と書かれた黒板を前に、それぞれの後ろや前や隣の席の人とワイワイ騒ぐクラスメートたちを、眺めていた。


「ということで、全種目の選手が決定しました」


 体育委員の大西さんが、教壇の前に立って、仕切る。


「早速、今日の昼休みから各種目ごとに練習します。放課後はクラス対抗の大縄ね」


 はーい、とか、へーい、とか、クラスメートが返事をして、ホームルームが終わった。
 

 『ムカデ競争』の字の下に書かれた自分の名前が、消されていく。

 それをぼんやりと眺めて、憂鬱な息を吐いた。


 運動は決して得意ではないから、あまり運動能力を問われないムカデ競争に手を挙げたけど、ちゃんと迷惑かけないようにできるかなぁ。

 五人一組で息を合わせる競技だから、私一人がみんなの足を引っ張るわけにはいかない。

 不安や心配ばかりが胸の中に渦巻いて、少し気分が悪くなる。