二年生になって二日目。



昨日から新しくなったクラスの教室へ向かう。



テーブルゲーム部の人達と一緒に登校するのは校門までで、靴箱で履き替えた後には、いつも姿が見えなくなっている。



教室の前まで来て、ここが二年九組の教室であることを確かめてから、扉に手をかけた。



ガラガラっと開けると、クラスメイトの視線が私に注がれる。



「あ! 哀咲さん、おはよー!」

「昨日楽しかったねー!」

「おはよー哀咲さん!」



思わず、息が漏れた。


一年のときには、なかった光景。



ぐっと手に力を込める。



「お、おは、よう」



絞り出した挨拶に、また、反応が返ってくる。



「おはよー!」

「哀咲さんおはよー!」



こんな、普通なら当たり前のことかもしれないことが、私には初めてのことで、すごく嬉しい。



昨日、倖子ちゃんや颯見くんのおかげで、ちゃんと言えてよかった。


早く、お礼がしたい。



ふと思い立って、カバンを机に置き、教室を出た。