春休みが終わり、私たちは高校二年生になった。



爽やかな春風が、桜とともに舞う。



「クラス替え緊張するねー! イケメンいるかなぁ」


「歌奈はいっつもそれだよな」



春休み前と変わらず、テーブルゲーム部の人達と登校する朝。



校舎までたどり着くと、靴箱前に張り出されたクラス分けの紙に人集りができていた。



「きゃー、ドキドキするー!」



吉澄さんが、楽しそうにそれに駆け寄っていく。



あの紙にはもう、私がどのクラスかも、誰と同じクラスかも、全部書かれているんだ。


そう思うと、妙に胸が高鳴る。



倖子ちゃんと同じクラスだといいな。



そう思いながら、紙に近寄った。



「雫!」



人集りの中にいた一人の人物ーー倖子ちゃんが、私に気付いて手招きをする。



「あたしと雫、同じクラスだよ。二年九組だって」



言われて、高揚する胸を押さえながら、貼られた紙の二年九組の欄を見る。



一番上に私の名前。



そこから一人ずつ下へ、名前を確かめていく。



数人下に書いてある名前に、ふと目が止まった。






“颯見嵐”







ドクンと心臓が揺れた。



颯見くんも、同じクラスなんだ。



そのまた数人下に、倖子ちゃんの名前を見つける。



「颯見も同じクラスだね」



耳元に響いた倖子ちゃんの小声に、なんだか恥ずかしくなる。



どんな表情でいたらいいのかわからなくて、俯きがちに頷いた。