朝のホームルームが終わると、教室は賑やかになる。

 ふざけ合う男子も、それを笑う女子も、みんな楽しそうで。

 私はただ、それをいつものように眺めている。いつかあそこに私が混ざっていたらいいなぁ、なんて、妄想をして。


 だけど今日は、そんな妄想の傍らで、今朝見た二人の姿がチラチラと頭に浮かんで邪魔をする。

 その二人の姿を思い出しては、どうしてか心の中がモヤモヤとくすむ。


「朝羽! 幼なじみが来たよ!」


 誰かの甲高い声で、頭の中の二人の姿が吹き飛んだ。


 私の斜め前の席で学級日誌を書いていた朝羽くんが、パッと顔を上げて教室の入り口を見る。

 私もつられて入り口を見ると、そこには男子の群がり。

 その中心から、髪をくしゃくしゃにされながら出てきた、見覚えある姿に。――胸の音が鳴った。