練習試合の日から、数週間の時が過ぎて、三学期の中間試験も淡々と終わった。



数学のテスト返しで、湧き立つ教室。


定位置の一番後ろの窓際の席から、ふと廊下の方に視線を向ける。



授業中だから、廊下に人は誰もいない。



あの練習試合の日から、颯見くんは、もうずっと十二組の教室に姿を見せていない。



颯見くんのクラスは遠いから、廊下ですれ違うということもない。



颯見くんと鈴葉ちゃんを心から応援できるようにならなきゃいけない私にとって、とてもありがたい環境になっているはずなのに。



つい、部活の時間に、教材室の窓から、サッカーをする颯見くんの姿をこっそり眺めてしまう。



だけど、そこで目にするのは、颯見くんとマネージャーの鈴葉ちゃんの楽しそうな姿で、それを見るたび、チクリと胸が痛む。



私はどこまでも、自分勝手で厚かましい。



「よーし、全員テスト返し終わったな。みんなもっと勉強しろよー」



数学の先生が、体育会系の口調で言い放って、あ、と付け加えた。



「哀咲、昼休み、この課題のノート集めて職員室に持って来てくれるかー?」



不意にふられて、慌てて頷くと、先生は満足そうにうんうんと頷いて教室を出て行った。








テスト返しで湧き立ったままの教室が、さらに賑やかになる。



教卓に、課題のノートが積み重ねられていく。



直後にチャイムが鳴って、昼休みの始まりを告げた。