「休日に学校行くなんて、今あたし絶対損してる!」



校門前の坂を上りながら、隣で倖子ちゃんが叫んだ。



「あ、ご、ごめんね」


「いや、雫が悪いんじゃないから。悪いのは、中雅鈴葉だから」



倖子ちゃんが来てくれたのは、私を心配してくれているから。


鈴葉ちゃんと颯見くんの姿を見て、私が辛くなるのを、心配してくれている。



鈴葉ちゃんは、きっと、私が来たら喜んで出迎えてくれるはずなのに。

なのに、私は。



「ところでさー、なんでこの人たちも一緒なの?」



私の思考を遮るように、倖子ちゃんが気怠そうな声を上げた。



流し目で後ろに向けられた倖子ちゃんの視線を辿る。



私と倖子ちゃんの後ろを、賑やかについてくる四つの影。



「私達、哀咲さんの恋に協力したいの」


「えー歌奈さっきまで、イケメンいっぱい楽しみとか言ってたじゃん」


「ちょっと重太!」



睨み合う吉澄さんと西盛くん。

どうもすみません、と頭を下げる洲刈くんと、呆れた表情を浮かべる真内くん。



一緒に行く約束をしていたわけではないけれど、家の玄関を出ると彼らがいて、そのまま一緒に行くことになってしまった。



「随分、楽しそうな人たちね……」



はぁっと息を吐いて、倖子ちゃんが呟いた。