――――……


「え、テーブルゲーム部に入ったの!?」



翌日の休み時間。倖子ちゃんに昨日のことを話すと、倖子ちゃんは教室中に響くような声で叫んだ。



「変人の集まりって言われてる、あのテーブルゲーム部!?」



変人の集まりと言われているのか、とどこか納得しながら頷く。



「そうなんだ。上手くやっていけそうなの?」


「うん」



初対面の私を、ナイフの男から助けてくれて、部員として招いて受け入れてくれた。



「すごく、良い人たち、だよ」



私の答えを聞いて、倖子ちゃんはフッと微笑んだ。



「それなら、よかった」



何かされたら言いなよ、と心配してくれる。



「ありがとう」



私が言うと、倖子ちゃんは笑って顔をそむけた。


だけど、すぐにその顔が私に向き直る。



「雫、颯見が来たよ」



廊下に目をやった倖子ちゃんの、その視線の先をたどった。



ちょうど、教室の入り口に現れた、くしゃっと笑った顔。



トクンと小さく、胸の奥で音が鳴る。



「カズ、電子辞書貸して!」


「嵐……忘れ物多くない?」


「ごめんごめん」



笑いながら、教室に入ってくる。


距離が近づいてくるこの瞬間は、何度経験しても慣れなくて、緊張で心臓がうるさい。



――練習試合、見に行ってみたらどうかな?



昨日、吉澄さんに言われた言葉を思い出した。



見に、行きたい。
見に、行ってもいいのかな?



ガラっと椅子を引く音が鳴って、颯見くんが朝羽くんの隣に座った。



「哀咲、おはよ」



急に私に言葉を向けられて、緊張が身体を走り抜ける。



「お、お、おはよう」



どもりながら挨拶した私に、優しく笑い返してくれて。その瞬間に、胸の奥で鼓動とは違う何かが音をたてる。



練習試合、見に行きたい。



でも、見に行ってもいいかなんて訊いたら、図々しいと思われるかもしれない。


もしかしたら、私のこの気持ちに、気づかれてしまうかもしれない。