楽しそうに跳ねる彼女の声に、前にいた西盛くんと洲刈くんが二人同時に振り向いた。


「歌奈のコレがまーた始まった」


「哀咲さん、歌奈はイケメン好きで、男の話になると止まらなくなるし面倒くさいよ」


 洲刈くんの発言にうんうんと頷く西盛くん。
 

「ちょっとー、そんな変なこと吹き込まないでよ」


 吉澄さんがぷくっと頬を膨らませて二人を軽く睨んだ。


「そんなぶりっ子したって可愛くねーぞ」


「重太に可愛いと思ってもらわなくていいもーん。私が興味あるのイケメンだけだから!」


「はぁ? イケメンの方が歌奈のこと興味ないと思うね!」


「わかんないじゃん、うちの学校イケメン多いし、誰か一人ぐらいチャンスあるかもでしょ?」


 ねー、と不意に私に向けられて、思わず頷いてしまった。


「嬉しい! やっぱり哀咲さんもうちの学校イケメン多いって思うよね!」


 吉澄さんの飛び上がるような反応に、西盛くんと洲刈くんが、あーあ、と小さく諦めの息を吐くのが聞こえた。