いつも一人で歩いていた道を、こんな大勢の友達と一緒に進んでいる。

 友達、っていうわけではないのかな。ただ、心配して一緒にいてくれているっていうだけだ。


「なぁ英麿知ってるかー? コルビーのチョコ味のグミ廃盤になったんだってよ。最悪だよな」


「そうなんだ、知らねーな、どうでもいい」


「何でだよ、お前にあげたことあるじゃん。食べてたじゃん」


「そんなの覚えてねーよ、興味ねーし、貰ったから食べてるぐらいだし」


「お前、お菓子の種類もわからず食べてるなんて、人生半分損してるぞ」


「はいはい、重太が幸せそうで何よりだよ」


 私の前で二人並んで歩く西盛くんと洲刈くんのやりとりは、どこか不思議で面白い。
 

「ねー哀咲さん、」


 前にいる二人の会話に集中していたら、不意に吉澄さんに声をかけられて肩が跳ねた。


「哀咲さんは、好きな人とかいるの?」


「えっ」


 思わず声を漏らすと、吉澄さんが歩きながらぴょんっと跳んで、にこっと笑顔を向けた。


「私、恋バナ好きなんだよね〜!」