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 午後の授業が終わって、放課後。


 テニス部の部室へ向かった倖子ちゃんと別れを告げて、科学研究部の部室へ向かう。

 科学研究部の部室は、同じ階の一番奥にある一年教材室。


 廊下の窓の外から、あーえーいーうー、と演劇部の発声練習が聞こえてくる。別の方角からは吹奏楽部の楽器の音。


 賑やかな放課後の音を聞きながら、私も部活に入ればよかったかなぁ、と少し後悔してしまう。


 教材室のドアまで辿り着き、ふぅ、と一息ついた。教材室には『科学研究部』と手書きの札が掛けられている。


 いつものように、コンコンとノックをしてみたけど返事はない。そーっとドアを開けてみると、やっぱり中は誰もいなかった。


 今日も、留守かぁ。いつになったら返せるんだろう。

 そう思いながら帰ろうとすると、トントンと後ろから肩を叩かれた。


「あのー、私達に何か御用ですか?」


 ひょっこりと顔を覗かせた可愛らしい顔立ちのボブの女の子。

 いきなり現れた目的の人物に、心臓が飛び跳ねる。