「お前頭いいじゃん? だから俺に勉強教えてくれよ。出来ればヤマとか張ってほしい」

「欲張んな」

「イイじゃん。お願いします!学園の白雪姫様!!」



両手を合わせ頼み込むそいつから出た単語に口角が引くつく。



“白雪姫”


俺の林 白雪(はやし しらゆき)なんてふざけた名前からとったのか男子校ではおおよそありえないその異名はこの学校での俺に対する共通認識だった。


たしかに俺はそんじょそこらの女と比べて可愛らしく整った顔立ちをしている。けど、それにしたって“姫”はねーだろ。



あー、もうめんどくせぇ。机のなかに残っていた教科書とルーズリーフを鞄の中に入れ「帰るぞ」と底辺男──七斗にいって教室から出た。