今、私……陽汰と会話してる。
そんな事実ひとつで舞い上がるほど嬉しくなる。
「……あの、あたし……陽汰に言いたいことあって……」
「言いたい……こと?」
「……う、うん。
まだ全然まとまってないんだけど……それでも聞いてくれない?」
「いいけど……」
「この前、陽汰に彼女のこととか色々失礼なこと言っちゃってごめんね……」
隣に座り込んだ陽汰の顔を恐る恐る覗き込むように見る。
「ははっ。
んなこと忘れてた。
いつものことだし気にしてねーよ?
まぁ璃乃に避けられてたのは薄々感じてたけど?」
「……それも、ごめん」
気にすんなとばかりにポンポンと頭を撫でられてしまうものだから自然と零れるごめんの一言。
「ん?
璃乃今日なんかいつもと違い過ぎて怖いんですけども」
「……なっ。
だって……そりゃあ……陽汰……」
引っ越しちゃうんでしょ……?
今さらそんな実感がじわじわと迫ってきてその言葉は飲み込んだ。
……居なくなっちゃうんだな、本当に。
「だって?」
「……ううん。なんでも」
わざわざ今になって言うことでも無いか……。
「……あとね。
もう1つだけあるの……。
陽汰に聞いてほしいこと……」
うん、と頷いた陽汰の優しい声音が雨を遠ざけていく気がした。
私達って、こんなにも穏やかな会話が出来たんだねってそんなこと思ったり。
「あたしね……ずっとずっと……陽汰のこと……」
込み上げてきそうになる涙を飲み込む。
今はまだ、泣いちゃだめ。
お願いだから、涙よ止まって……。
「あたしね……陽汰のこと……好き、です……」
生まれて初めての、告白。
絞り出した声は雨にも負けそうなほど小さなもので。
陽汰のことが好きで、出来るなら陽汰の沢山のことを知りたい。
「うん」
「……え、ちょっとそれだけ?」
「うん?」
「……疑問系で返さないでよ」



