「……陽汰、陽汰っ……」
会いたい、会いたい……会いたいんだ。
その想いに突き動かさせるまま、自宅の真ん前まで来て元来た道を急いで引き返す。
陽汰の……家まで。
ごめんね、ありがとう。
伝えたいことはそんな漠然としたことで全然まとまってなんてないし……
今さらかも知れない。
それでも行かなきゃ。
間に合わなくなって一生後悔するその前に……
「……はぁ、はぁ……。
陽汰……まだなのかな……」
走って少し息を切らしたのと、陽汰にこれから会うという緊張で高鳴る鼓動。
陽汰の家のインターホンを押してみるものの応答無し。
陽汰の両親は共働きでまだ帰らないはず。
つまり一人っ子の陽汰は放課後家に1人。
応答が無いということは……まだ帰宅していない……?
「……なによー……。
急いで来て損した……」
損をする人生ばかり。
でも……そんな中でも陽汰と出会って恋したことは特別なものだ。
「……仕方無い。
待とー……」
ドアに背中をぺたーっとくっつけ座り込む。
雨が足元に当たって濡れていくけれど大して気にならなくなっていた。
なんせ走った時にだいぶ濡れちゃったし。
「……あー、まずい。
……寝そう……」
この3日、陽汰のことばっかり考えてロクに眠れなかった。
少しだけ……そう思って目を瞑った瞬間、どうやら眠りについてしまったようだ……
「……の!
……い、……りの!
おいって、璃乃!」
「……んんー、もう誰……?
……うるさいなぁ……」
「悪かったな、うるさくて」
「……へ?
っよ、よよ陽汰!?」
「そんなとこで寝られたら家にも入れないんですけどー?
璃乃さんのお家はあそこじゃないんですかー?」
またいつもみたいにからかってくる。
でも、それも……もう今日が最後。
「……うん、そうだよね」
「璃乃?」
いつもは全力でつっかかってくるはずの私が簡単に認めたもんだから陽汰は名前を呼んで怪訝そうな顔をする。



