「な!
よーたそんなこと言ったら雨がかわいそう!」
「だってサッカーできなくなるのはホントだし」
「サッカーなんてできなくていいもん!」
「なんだってーっ!」
「サッカーなんて楽しくないし!」
違うんだ。
陽汰が私には出来ないことでキラキラとした顔をすることが楽しくなかった。
ただ陽汰から、そうだねって。
たまには雨もいいねって。
そんな言葉が欲しかっただけ。
「そんなことない!」
「そんなことある!
もういいよ!
よーたなんか知れない!」
「それはオレもだ!」
ふん!
と2人は鼻を鳴らして別々の道を歩く。
雨を裂くように、並んでいた赤と青の傘は離れてしまう。
そんな……
喧嘩ばっかりだった私達だったけど……
いつもいつも次の日には大抵どちらも何事も無かったかのように話を始める。
いつだって……変わらずに。
もう今となっては歩き方1つで陽汰かどうか、自然と分かるようにまでなってしまった。
私達は何やかんやこれからも喧嘩しながらでも一緒なんだろうなって……
儚い永遠を……疑うことなく信じていた。
「……また、雨……」
あの日の過去と同じ、雨と雨音。
それらを聞きながら立ち尽くす放課後の玄関先。
人の波が溢れる時間帯を外したそこはガランとしていて時折遠くで部活動に励む生徒の声が聞こえるだけ。
パッとしない心模様とリンクする空模様。
空が泣いているように雨は降り続ける。
私なんて……好きな人の引っ越しを知っても涙なんて出やしない。
哀しくないわけじゃない。
ただ、そんな実感が全く無いだけ。
今日……彼はこの街を出ていく。



