好きだと伝えたくて。

その瞬間、ふらふらとした感覚が俺を襲い、ぐらりと視界が揺れる。


まただ──


七年前にやって来たときと同じくらいの強烈な揺れ。


このまま元の場所に戻るのか?


そんなことを考えている俺の耳に柳瀬の声が飛び込んできた。



「黒木くん! 待って!」



必死に呼び止めようとしているような叫び声。


柳瀬のこんなに大きな声は聞いたことがねぇな。


もう二度と、聞くことがないんだよな……。


そんなことを考えながらも、目の前が真っ暗になって、だんだん意識が遠くなってくる。


そして俺の記憶は、そこでぷつりと切れてしまった。