好きだと伝えたくて。

そのまま校舎の中に入っていく律についていくと、辿り着いたのは305ホーム。


俺と律の高三のときのクラスだ。


記憶を手繰り寄せて自分の席に座ると、隣には……あの子。


あの頃、ずっと俺が好きだった女の子……柳瀬杏果(ヤナセ モモカ)だ。


隣の席にはいるけど、実際あの当時はほとんどしゃべったことがなかった。


彼女は休み時間は読書をしていることが多く、とてもおとなしい子だった。


どちらかと言うと、目立つタイプの俺とは正反対で、きっと彼女は俺のことが苦手だったと思う。


だって、避けられているように感じていたから。


それでも俺は彼女のことが好きだったんだ。