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「目覚ましたんやな、よかったぁ」
目を覚ますと__
知らない男が、”二人”。
「・・・誰?」
ニヤッと笑った褐色の男。
「アンタの恋人や」
それに反抗するように睨む碧眼の男。
・・・あたしの、恋人?
「名前は?」
「神無月遊馬。覚えとらんのか?月架。」
「ごめん・・・曖昧で・・・。本当にあたしの恋人なの?」
「せやで?信じて、月架。」
「うん・・・信じるよ。」
あたしは碧眼の男を見つめた。
綺麗な色・・・
いつまでも取っておきたいな。
「君、喋れないの?」
男の子は頷いた。
手に持った携帯で文字を打ち込んであたしに見せてくる。
《俺、桜瀬陽汰。覚えてない?》
「さくらせ・・・よう、た・・・?」
頭が痛い。
思い出せそうなんだけど・・・。
絶対にあたし、この人と喋ったことある。
《早く思い出せるといいね》
なんて、微笑んでくる陽汰くん。
優しい子なんだなぁ。
「さて・・・こっからは俺ら恋人の時間やで?帰ったらどうや?」
「こ、恋人の時間って・・・!」
陽汰くんが病室を出ていこうとするので、あたしは呼び止めてしまう。
なんでこんな思い入れがあるんだろ?
「また来てね。」
陽汰くんは首を縦に振ってドアをしめた。
なんだかこの遊馬って人・・・信用ないなぁ。
本当にあたしと喋ったことある人なの?
