花歌う、君の空。




『ねぇ、また歌を聴きに来ていい?』





───こんな夢を見たのは、菜花先輩とあんな話したからかもしれないな……。



また歌を聴きに来たいという先輩のお願いに、俺は迷わず頷いたけど。

ほんとにこれで、いいのだろうか。



「俺………どうするつもりなんだろ…」



”菜花先輩にもっと近付きたい”と言う願いは、叶ったというわけで。

すごく嬉しいと思う反面、なんだか胸の屋外モヤモヤしてしまう。


───先輩と近づいて、その後は?



普通に友達として仲良くなる?
告白して、彼氏になる?
てゆうかそもそも俺って、菜花先輩のこと好きなのか?

いや、多分違う。

ただほんとに、傍に居たいだけだ。
ただあの笑顔を、もう少し近くで見られたら。

今はもう、それだけでいい気がした。